最近すごいペースで著作を出版している印象が強い著者。本書は道路に視点を集中して書かれている。
首都圏のいわゆる三環状は計画から40年を経ても完成に至らず、その間韓国や北京は環状線を完成させている。オリンピックの際に訪れた北京などは、ちょっと前まで自転車が溢れている印象だった街も、今や完全な自動車社会になっており、その環状道路は幅が広くかつ信号がないことで渋滞知らずだった。こうした僕の経験も踏まえて本書を読んでみると、日本の道路の貧弱さがより浮き彫りになってくる。
道路は作ったら終わりではない。メンテナンスは欠かせないし、橋などは40年程度で架け替えなどの対応も必要だが、公共工事=悪のイメージからその予算は削られ続けている。
物流の根幹は陸路による輸送であり、トラックがスムーズに荷物を輸送するためには高速道路あるいは自動車専用道が欠かせない。さらに、今回の震災では自動車専用道を建設していたが故に津波を免れた仙台市の例もあり、命の道としての効果も指摘している。
著者の主張は明快で、客観的データを元にした論旨は、少なくとも財政破綻を叫ぶだけで対案を示さない有象無象の意見よりは説得力がある。
Wow! ノートはまだありません
Atsushi Egi