千利休が豊臣秀吉に切腹を命ぜられた原因には様々な説がある。茶道を権力のために利用しようとする秀吉と求道者の利休の対立,大徳寺山門に自身の木像を置いた身分をわきまえない利休に対する制裁,あるいは利休の娘を秀吉が所望した等々,これらをうまく作品の中に取り込んで,秀吉と利休の関係をのっぴきならないものにしていく。大河ドラマなど見ていると大変分かりにくい部分なのだが,読んでいくうちに,選択肢は他になかったように思えてくる。そして弟秀長の死。天下統一を成し遂げた秀吉が,嫡男鶴松を失った心の代償を埋めるかのように「生涯の業績をまっ黒に塗りつぶす朝鮮出兵の暴挙に出た(文庫本裏表紙の文章から)」。これが未だに日韓関係に尾を引くというのも分からないではないような。
淀の方が後の秀頼を妊娠するが,本当に秀吉の子だったのか。大野治長との関係を少しばかり匂わせるのだが,まぁ,ここはあまり深入りしないんだと思う。関ヶ原の戦いはまだだし,冬の陣まではまだ何巻もありそうでよくは分かりませんが。あと12巻。折り返し点は過ぎたが,先は長い。
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Nobuyuki Matsumura