烏賊川市シリーズ第3弾。
冒頭から結末まで、いい加減にして欲しいと思うくらい猫、あるいは招き猫づくしの本作。本作では猫や招き猫にからんだ蘊蓄が披露され、前2作とは趣を異にする作風となってはいるものの、そこは烏賊川市シリーズ。いつの間にか警察側、探偵側双方のドタバタコンビが入り乱れて物語が進んでいく。
砂川警部の過去が一部紹介されたり、1作目ではほんのちょい役のような扱いだった朱美さんがすっかりレギュラー陣として定着していたり、人間模様もますます魅力的に描かれていて、シリーズものならではのお楽しみ感が増しているところもいい。事件のトリックは実際にこの目で見てみたい、あるいは体験してみたいと思わせる、だまし絵のようなものだが、それもまたこのシチュエーションだからこそ成り立つというよく考え抜かれたものでもある。
相変わらず、人を食ったようなユーモアで一気に読ませてしまうところがまた、してやられたと思う所以である。
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Atsushi Egi