烏賊川市シリーズ第4弾。
3組の視点を切り替えながら進行する物語。全く関連のないはずのそれぞれの行動がやがて一つの事件につながっていく、、、、というものだが、この本の仕掛けはまさしく活字だから出来る仕掛けといえる。こうした、活字だから出来る仕掛けというと綾辻行人が得意とするイメージがあるが、どの作者にも共通しているのは、「決してウソは書いておらず、あくまでも読んでいる読者が勝手に勘違いする」という文章を巧みに配置していること。物語が一つに結ばれたとき、少なからぬ混乱を呼び起こすのも、すべて作者の計算どおりだ。
今回残念なのは、鵜飼探偵も砂川警部も、およそ事件解決にはほとんど役に立つような活躍をしていない様に見受けられること。すべてはキーマンとなる人物が文字通り解決の鍵を握っていて、解決編もほぼその人物から語られる。
これまでの作風とはまた違った異色な作品だが、作者の懐の広さを垣間見せてくれる一作でもある。
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Atsushi Egi