綾辻行人による、スプラッタホラーの続編。
あの双葉山の惨劇から3年、血に飢えた殺人鬼が双葉山を離れ、町に姿を現す。はじめに犠牲になった家族の生き残りが運び込まれた病院に迫る殺人鬼。それに対峙するのは若干9歳(!)の、不思議な力を持つ少年。繰り広げられる惨劇を食い止められるのか。
これでもかというほどの悪趣味な殺害シーンが80年代ホラー映画を彷彿とさせる前作に引き続き、またまた異常なまでの殺戮を繰り返す殺人鬼を描いている。読んでいておぞましいやら気持ち悪いやら、でも怖いもの見たさとか結末を知りたいなどの思いも交錯し、ついついページを繰る手が止められなくなる不思議な作品。あいかわらず一息では殺そうとしない殺人鬼の、いたぶり殺す事への執着がすさまじく、綾辻行人という作家の精神を疑いたくなるほどだ。
ミステリーで名をはせている作者にとって、ミステリーではなくホラーである本作が初の雑誌連載作品というのもまた驚きであるが、前作に引き続き本作でもミステリーらしい趣向が凝らされている。しかし、前作の大胆な仕掛けに比較すると本作の仕掛けはそれほどぱっとしない。ホラーという面では確かに恐ろしく、おぞましいが、前作以上にファンタジーっぽく、作品レベルとしては前作に及ばない印象。この世界観について行けるかどうかで面白みが変わってくる。
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Atsushi Egi