松岡圭祐の千里眼シリーズ第2弾。
美由紀がアフリカで見た、貧困と内戦の傷跡。いてもたってもいられなくなり、小さな子供を守るため、理不尽な攻撃を繰り返す政府軍のヘリを撃墜したことがきっかけで、なぜか中国で反日感情が高まり、あわや会戦の危機という状況に。一方、精神疾患の患者が見たというミドリの猿。これらの一見なんの関わりもなさそうな事柄が、やがて複雑に絡み合い、世界を裏で動かそうとしている組織と接触することになる。
第1弾で驚異的な能力により、日本の危機を救った岬美由紀が、今度は日本を窮地に立たせたとして糾弾される羽目になる。言いがかりのような理由で開戦を迫る中国。これらの裏で暗躍する組織。これまで以上にスケールの大きなストーリーが、次から次へとスピーディに展開していく。
作者の別シリーズ「催眠」で主役として出てきた「嵯峨」が美由紀と行動を共にするなど、クロスオーバーな展開も用意され、ファン心理をくすぐる。一方、物語は美由紀がとらわれのまま第3弾へと続いていくことになり、消化不良感も持たせながら続編へ引き継いでいく。このあたり、古くは「スター・ウォーズ帝国の逆襲」でハン・ソロが捕まったままになるのに似ていなくもない。
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Atsushi Egi