松岡圭祐による千里眼シリーズ第3弾。
とらわれの身となってしまった美由紀は密かに中国へと送られる。一方、その中国は日本への開戦を前についに国境付近で小競り合いを始め、日中双方に損害が出始める。果たして美由紀はとらわれの身から逃れることが出来るのか。日中の関係の行方は。
前作が引っ張って引っ張って終わってしまったので、先が気になりついつい読む手が止まらなくなってしまう。美由紀をとらえ、脳に直接様々な刺激を与えることで無力化して中国に送り込むといった、周到な用意をしていた闇の組織は一方で精神科医を巻き込んで自分たちの秘密に触れそうな人たちを精神疾患患者に仕立て上げるなど、およそ人間らしからぬ行いをしていて、フィクションであるにもかかわらず本当にこんな組織があったら自分たちの人生はそんな人たちに操られているのかと真剣に考えてしまいそうだ。一方で、そんな組織にほぼ単独で(前作から引き続き嵯峨や第1作から登場する刑事蒲生の力を借りてはいるが)立ち向かう岬美由紀という女性の強さが際立ち、そんな奴いねーだろとつっこみをいれつつもあまりの格好良さにそんなことはどうでも良くなってくるのが不思議だ。
第2弾「ミドリの猿」から続いてきた物語は本作でひとまずの区切りがつく。この先、謎の組織や恒星天球教がどんな動きを見せてくるのか、続編にも期待が出来る。
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Atsushi Egi