臨床心理士・岬美由紀が活躍する千里眼クラシックシリーズ第7弾。
謎の人体発火現象により、テロリストを始めとする人々が次々に死んでいくなか、英国王子の妃、シンシアが意味不明の行動を取り始め、その対応に嵯峨敏也が派遣される。一方、人間の脳を模して作られたコンピュータと人工衛星を使ったレーザー防衛システムが謎の誤動作を始める。その裏にはメフィストコンサルティングの陰謀が渦巻いていた。
本作はこれまで以上にショッキングな内容となっている。人の生き死にが描かれるのはもちろんだが、それはさほどグロテスクではない。しかしながら、ディフェンダーシステムと呼ばれるレーザー防衛システムとそれを制御するためのコンピュータを乗っ取り、恐怖の統治を成り立たせようとするメフィストコンサルティング、その天空からの攻撃によりあっという間に全世界のほぼすべての軍事力、警察力などが壊滅し、混乱の極みを迎える世界はフィクションだとしても背筋が凍り付くリアリティで描かれる。
もはや行き場もなく、ただ逃げ惑うだけしかすべをもたない人類への明るい希望はあるのか。どういう結末を迎えるのか、先が読めない。美由紀が敵の手に落ちてしまい、自由を奪われてしまうのは「ミドリの猿」以来だが、さらに深刻な状況に陥って、もはやわずかな希望すら持てない展開になったときには、永井豪の「デビルマン」のように人類が滅亡してしまうラストへと流れていくのかとすら思えてしまう。
それにしても、マリオン・ベロガニアなる人物はもう少し友里佐知子のようにしぶとければ、というのがちょっと残念な感想になってしまうが率直な意見だ。
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Atsushi Egi