臨床心理士の岬美由紀が活躍する千里眼シリーズ第8弾の下巻。
精神療法と称して新型の麻薬を投薬し、本来精神病患者ではない人さえも精神病として扱い、それによって世界の征服を企む製薬会社がついに本性をさらけ出す。上巻で死亡したと思われていた子供の母親が寝たきりとなったことや、伊吹がとらわれの身となり、麻薬中毒で前後不覚に陥ったりしたことからその製薬会社に乗り込み、結果的に壊滅に追いやる美由紀。そして、その新型麻薬は大陸から大量に運ばれたものだった。しかも、その輸送船には私設空軍が護衛にあたり、その操縦者は過去に人民解放軍でエースパイロットとしてならした男だった。
上巻で死亡したと思われていた少年の行方、そして伊吹は立ち直れるのか。美由紀の一世一代の大勝負が最後に待ち受ける。
すべてが納まるところに納まり、スッキリと終わるあたりは複雑に伏線を張り巡らせた後に最後のピースまであるべき所に納める上質のミステリを読み終えたときの感覚に似ている。いろいろな要素を駆使しながらも破綻なくまとめ上げるあたりはさすがといえる。
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Atsushi Egi