ユーモアミステリの旗手が放つ、著者の名声を高めた一冊。
短編なのでそれぞれの話が短く、それでいてきちんと安楽椅子探偵ものとして成り立っているところはさすがといえる。一方で、いわゆる推理モノマニアからすると納得がいかないくらいにライトで、本格推理などに手を出していなかった読者をミステリの世界に引き込むための橋渡しとしてちょうど良いタイプの作品に仕上がっている。
ドラマでも話題になった毒舌キャラの執事がいる大金持ちのお嬢様が刑事という、今時の少女マンガでも絶対に設定しないようなあり得ない世界観といい、不必要に無能な上司といい、こんな人たちがホントにいたら治安はホントに守られるのか心配になってしまうが、そんな設定すらも何となく受け入れてしまうのも著者独自のユーモアのなせる技か。
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Atsushi Egi