スウェーデン発大河ミステリの第2弾。以下は上下巻通しての感想である。
ヴァンゲル家の謎とヴェンネルストレムへの復讐を果たしたミカエルに対し、リスベットが距離を置いてお互いの関わりをなくそうとするところから物語がはじまる。ある事件をきっかけにリスベットの過去が徐々に明らかにされるが、そこには重大な秘密が隠されていた。
リスベットの過去が明かされるにつれ、なぜリスベットがこんなにもかたくなな姿勢を貫いているのかが納得できる。第1作「ドラゴンタトゥーの女」の時点ですでにこうしたバックグラウンドは設定済みで、第3作に繋がる秘密も伏線として張ってあったということにまず大きな驚きが隠せない。
一方で、作者はジャーナリストらしい、緻密な筆致で現在のスウェーデンが抱えている問題も喝破し、それらも物語にうまく織り交ぜながら展開させていく。それはそれは圧倒的なリアリティを感じさせる。人身売買、官僚の腐敗、女性蔑視、報道被害など諸々の要素を織り交ぜながら破綻なくストーリーを展開させ、しかもそのページターナーぶりもまた圧倒的だ。
終盤の衝撃的な展開で第3部への期待も高まってゆく、その仕掛けもすばらしい。
Wow! ノートはまだありません
Atsushi Egi